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道新記事より逆行している『政府の農協改革』より

.06 2015 政治・行政 comment(-) trackback(-)
政府の農協改革 北大名誉教授 大田原 高昭
 政府が進めようとしている農協改革はその前提に問題がある。
第一に、農業所得の減少や担い手の高齢化など農業の後退を招いたのは農協だという事実誤認である。
 農業後退の原因は食料自給率39%というところまで追い込んだ貿易自由化政策であることは明白なのに、政府は責任を農協に転嫁している。
 JA全中の監査が単位農協の自由な活動を妨げているというが、ほとんどの単位農協の組合長はそんな事実はないと答えているし、准組合員の増加が農協をゆがめているといっても、准組合員比率が最も高いのは、北海道の農協である。TPP参加による将来の不安から、離農する人や後継を断念する若者が後を絶たない。これを止めるには、農協改革ではなく、安倍首相が『TPPに参加せず、自給率向上に努める』と言えばよい。補助金等付けなくとも担い手は間違いなく増加する。
 第二に、協同組合についての無知である。会社とどう違うのかという見識がなければならないのだが、それが見当たらない。
 協同組合は、歴史的に小の経済を集めて大の経済に対抗し、弱肉強食の資本主義社会において大企業の独り勝ちを防ぐ役割を果たして来た。93カ国、10億人を組織し、世界最大の非政府組織(NGO)とされる国際協同組合同盟(ICA)は、今回の農協改革に際して、政府の改革案が国際協同組合原則への侵害であるとする非難声明を発表した。先進国として恥ずかしいことだ。
 第三に、日本の農家(家族農業)についての誤った認識である。政府は、日本の農家は零細で生産性が低いから思い切って大規模化、企業化しなければならないとし、そのために零細農家を守っている農協を解体しなければならないと考えているようだ。81カ国の統計をみると、1ヘクタール以下の経営が73%、2ヘクタール以下で85%で、平均1.6ヘクタールの日本農業は世界標準なのだ。
 国連は2014年、小規模家族農業への投資を促す決議を行った。そのモデルとされているのが日本農業なのである。
 日本は小規模家族農業のままで近代化に成功し、生産力を高めた唯一の国である。それを可能にしたのが日本型総合農協の存在だ。
安倍農政が国際的な流れに逆行しているのは明らかであろう。こんなことは早くやめさせなければ日本は世界の孤児となる。